保険のオンライン診療には届出が要ります
スマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けるオンライン診療を、健康保険を使って受けるには、その医療機関が「情報通信機器を用いた診療に係る基準」を地方厚生局に届け出ている必要があります。届出のない医療機関では、保険でのオンライン診療は行えません。
当サイトが取り込んだ全国8つの地方厚生局の名簿では、医科90,480件のうち15,776件(17.4%)がこの届出をしています。およそ6軒に1軒です。お住まいの地域の状況はオンライン診療の届出がある医療機関から探せます。
届出の条件
通知に定められた条件は6つです。順に見ていきます。
実施場所
医療機関の外で診療することがあらかじめ想定される場合は、その場所が厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に該当していて、あとから確認できることが必要です。
対面診療を提供できる体制
イ 対面診療を適切に組み合わせて行うことが求められていることを踏まえて、対面診療を提供できる体制を有すること。
ウ 患者の状況によって当該保険医療機関において対面診療を提供することが困難な場合に、他の保険医療機関と連携して対応できること。
これは重要な点です。制度は、オンライン診療を対面診療と組み合わせて使うものとして設計されています。オンラインだけで完結する医療機関という形は想定されていません。実際に診察してみて対面が必要と判断されれば、来院を求められるか、他の医療機関を紹介されます。
ウェブサイトへの掲示
次の2つを、その医療機関のウェブサイトに掲示することが条件です。
- オンライン診療の初診において向精神薬の処方は行わないこと
- 「オンライン診療指針」の遵守を確認するためのチェックリスト(自院の対応状況を記入したもの)
初診での向精神薬の処方が行われないことは、条件として明記されています。睡眠薬や抗不安薬などを初回のオンライン診療で出してもらうことはできません。
医療広告ガイドラインの遵守
医療広告ガイドラインを守ることが条件に入っています。ウェブサイトを作る際には「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」を参考にすることとされています。
電子処方箋の重複投薬チェック
向精神薬を処方する場合は、電子処方箋管理サービスの重複投薬等チェック機能を使うことが条件です。ただし電子処方箋を導入していない場合の経過措置が置かれています。
届出があってもできないこと
届出は体制についてのものです。次のことは届出の有無からは分かりません。
- 初診から受けられるかどうか。制度上は初診でのオンライン診療も認められていますが、初診は対面のみという方針の医療機関はあります。
- どの病気を診てもらえるか。症状によっては対面での診察や検査が必要です。
- 使うアプリやシステム。医療機関ごとに違います。事前の登録が要ることが多いです。
- 予約の方法と、実施している曜日・時間帯。
当サイトが「オンライン診療 届出あり」としか書かず「オンライン診療に対応しています」と書かないのは、この差があるためです。
関連する届出
情報通信機器を使う診療には、ほかにも届出があります。
| 届出名称 | 全国の届出 |
|---|---|
| 情報通信機器を用いた診療に係る基準 | 15,776件 |
| 通院・在宅精神療法の注12に規定する情報通信機器を用いた精神療法の施設基準 | 187件 |
| 情報通信機器を用いた看護業務の効率化に係る基準 | 33件 |
精神療法をオンラインで行うには別の届出が要ります。届出のある医療機関は187件と限られています。
受診の前に
オンライン診療を希望する場合は、事前に医療機関へ次の点をお問い合わせください。届出の有無だけでは判断できません。
初診でも受けられるか。どのアプリを使うか。予約はいつまでに必要か。処方箋はどう受け取るか。費用はいくらか(システム利用料が別にかかることがあります)。
なお、オンライン診療の制度は改定のたびに要件が変わっています。この記事は令和8年度診療報酬改定の通知にもとづく2026年9月時点の内容です。最新の内容は厚生労働省の資料でご確認ください。